忘れかけてた事

ここんとこ自分に余裕が無かった。

仕事が忙しくて、加えて猛暑で家に帰るとぐったりの毎日。
でも、そんなときに限って彩夏はあたしにべったりで。
台所に立つとすぐに“あっこ(だっこ)ちて〜”と泣く。
一度言い出すと絶対にそれをやるまで泣いている。
それで、何度彩夏を怒鳴っただろう。

“叱る”じゃなく“怒る”毎日だった。

たまに“うるさいっ！そんなうるさい子いらんっ”とまで言ったりした。
イライラする事が多かった。

昨日、保育園にお迎えに行ったとき
仲良しのめいちゃんのママと立ち話をした。
出産予定日を2日過ぎてのお迎えらしかった。

話を聞くと、めいちゃんは誕生から現在の様子が
彩夏と良く似ている。

でも、あたしよりも随分若いめいちゃんのママは言った。

“苦労して産んで、生まれてからも手のかかる子だから可愛い”

はっと我に返った。

“なんでこんなに手のかかる子なんだろう”
と思っていた自分が情けなかった。

切迫早産、絶対安静、長い陣痛を乗り越えて
ようやく産まれた我が子。
実母はあたしが小5の時に他界。
実弟は21で亡くなった。
寂しい思いをしていたあたしの血を分けた娘なのに。

めいちゃんのママの一言で初心に返れた。